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日本生態学会誌
Vol. 66 (2016) No. 1 p. 81-90

記事言語:

http://doi.org/10.18960/seitai.66.1_81

特集1 生態系における汚染の動態と影響
要旨:
化学物質の生態リスク評価(特に生態影響評価)は、主に室内毒性試験結果に基づき行われる。単一の種を用いた室内毒性試験は、比較的簡便で手法が標準化されているという実務的なメリットがある一方で、その結果のみから実環境における生物個体群や群集の応答を予測することには限界がある。そこで本稿では、実際の野外での生物群集の応答を直接観察できる野外調査に着目し、まず、その利点及び欠点、生態影響評価手法(室内試験、模擬生態系試験、野外実験、野外調査)における位置づけを整理した。さらに、底生動物調査結果に基づき金属の“安全”濃度を推定した事例から、①交絡要因の影響をできるだけ排除した調査デザインや計画を丁寧に選択すること、②分位点回帰を用いて複数の調査データをメタ解析することで、野外調査が室内試験結果を基にする生態リスク評価結果の信頼性を評価・補完する情報を提供できることを示した。最後に、生態系保全を目的とした今後の化学物質の管理施策を見据え、生物モニタリングや野外調査の導入が提供しうるさらなるメリットについて考察した。

Copyright © 2016 一般社団法人 日本生態学会

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