持続可能な社会の構築とそのような社会を担う人材育成が求められるなか、高校の教育現場でも生態学教育の重要性が増している。観察・実験といった体験型の学習は、学習者の学習意欲を喚起する上で効果的だが、市街地の学校では生きた教材を入手したり、野外観察を実施するフィールドを見つけたりすることが難しい。高校で生物を教える教員が、教材やフィールドに関する情報をどのようにして入手しているのかを知るために、現職教員19名にアンケート調査を実施した。その結果、都市部の高校であっても、生態学教育に熱心な教員が少数在職していれば、教員同士の情報共有によって学校単位で充実した野外観察が行えることが示唆された。勤務校の枠を超えた教員同士の情報共有は、地域の教員コミュニティーにおいて活発に実施されているが、校務多忙で参加できない教員も少なくない。野外観察を取り入れた教員免許更新講習会は、多忙な教員にとって、生態分野の研修を受ける良い機会かもしれない。地域の教員コミュニティー、博物館及び教員免許更新講習会などで開催されている研修会には、様々な校種の教員が参加する。このような教員向け研修会は、勤務校の枠だけではなく、校種の枠を超えた教材共有の場としても期待される。