日本生態学会誌
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特集: 生態学と政策・制度をつなぐコミュニケーションのデザイン
共生の時代のアウトリーチとアドボカシー: 生態学コミュニケーターの担うもの
佐久間 大輔
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2018 年 68 巻 3 号 p. 223-232

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抄録

生態学が実学として社会の中で人間活動と生態学的諸問題の衝突の解決を目指す上で、生態学上の基本概念や専門知識を市民の間に広げ、対話を持ち、地域での合意を醸成するアウトリーチ活動と、それら実践の現場から得た課題を政策として立案し、政策決定者と対話を行うアドボカシー活動は重要な両輪である。これらの活動を担う生態学コミュニケーターの養成と、科学技術政策の中での位置づけ、生態学会との関わりや、社会の中で活動するための基礎的な条件を検討した。自然史系博物館は社会と学術界の両者にひらかれた施設として対話の場として、そして人材養成、NPO支援のプラットフォームとなりうる。自然史博物館自体の社会的機能を有効に活用するためにもコミュニケーターは重要である。博物館のみならず、生態学会も社会からのフィードバックを受け自らの知見と合意形成機能の有効活用をはかることにより新たな視座が開けるであろう。

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© 2018 一般社団法人 日本生態学会
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