日本生態学会誌
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特集 種の境界:進化学と生態学、分子遺伝学から種分化に迫る
種の境界:進化学と生態学、分子遺伝学から種分化に迫る -序論と趣旨説明-
山口 諒 松林 圭
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2019 年 69 巻 3 号 p. 145-149

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抄録

生物学的な「種」は生態学のみならず、多くの分野で研究対象の選択時に考慮される大切な単位・概念である。新たな種を生み出すプロセスである種分化は、生物多様性の創出要因として重要であり、そのメカニズムはダーウィンやウォレスの時代から注目を浴びてきた。一方で種の境界は時に、亜種やエコタイプなど様々な階層を含め非常に曖昧な場合が存在する。本特集では、集団が「種」として確立される際に重要である生殖隔離機構の進化に焦点を当て、野外や実験下での観測から、その分子遺伝学的基盤の解明、理論までを総説として取りまとめる。近年、本分野に関する日本語の解説は限られており、種分化のメカニズムとパターンを概観する本特集を通して、生態学研究の対象となる「種」の境界が成立する過程の理解が深まることを期待する。

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© 2019 一般社団法人 日本生態学会
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