繊維製品消費科学
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高齢者の歩行動態を表す特徴量の抽出とそれに影響を及ぼす要因
坂下 理穂諸岡 晴美
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2017 年 58 巻 1 号 p. 55-63

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抄録

高齢者の歩行動態の特徴を的確に表現しうる特徴量を抽出し,その特徴量に及ぼす要因として,ストライド長と積分筋電図を取り上げ,それらの関係性からつまずきやすい歩容の特徴を明確化することを目的とし,高齢者と若齢者の歩行動態および積分筋電図を検討した. 膝関節・足関節・足趾関節の角度・角速度・角加速度についての歩行周期曲線から最大値と最小値との差,すなわち両振幅(ΔS)を特徴量として抽出した.膝関節や足趾関節に比べて,足関節の角速度および角加速度において,若齢者と比べΔS の非常に小さい高齢者がみられた.また,足関節角速度のΔS が小さい高齢者においては,ストライド長が短く,主働筋も検出されなかった.これに対して,足関節角速度のΔS の大きい高齢者ではストライド長が長く,若齢者と同様に,前脛骨筋および腓腹筋内側頭が主働筋として検出された.すなわち,つまずき予防靴下の設計においては,足関節角速度のΔS を指標として用いることが有用であり,ΔS にはストライド長と前脛骨筋および腓腹筋内側頭の積分筋電図が強く関係していることがわかった.

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© 2017 一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
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