おりものシート製品に関する体系的研究のための基礎的段階として,市場に流通するおりものシート製品に関する消費者の意識調査ならびに実態調査を行った.構成素材が異なる2 種類のおりものシートを用いて,一定期間の着用を経た後に着用感について評価する着用試験を行った.さらに,おりものシートが着用感に与える要因を考察した.消費者の意識調査より,肌トラブルが生じにくいおりものシートが望まれていることがわかった.また,着用評価より,着用時の「かゆみ」「ひりひり」の症状は,衣類による肌トラブルを経験した被験者群においては,非月経期前期・中期では,綿シートに比べて合成シートの方が高くなることがわかった.おりものシートの着用感は,(i)評価者の肌の状態,(ii)おりものシートの力学特性,および(iii)非月経期にみられるおりものの性質の影響を受けて変化すると推察される.そこで,擬似おりもの溶液を用いておりものシートと皮膚間の摩擦現象を再現し,この結果から着用快適感を阻害するかゆみやひりひりとした感覚の発症機序を考察した.綿シートは合成シートより最大静止摩擦力が高く,シートと肌が擦られ難いため「かゆみ」「ひりひり」を感じ難いと推察される.