2020 年 61 巻 5 号 p. 381-390
本研究では,身体負荷軽減効果をもつコンプレッション型ランニングタイツ(Cp 型タイツ)の圧設計を導出することを目的として,タイツの圧強度および圧分布が筋電図,心電図,呼吸機能に及ぼす影響を検討した.市販のCp 型タイツを用いて,20 歳代の女性6 名を被験者とし,8km/h 走行で35 分間の着用実験を実施した. その結果,下腿内側を除き,Cp 型タイツ各部の衣服圧が高いほど積分筋電図(iEMG)が低く,iEMG が低いほど平均周波数が高くなる傾向がみられた.このことから,Cp 型タイツの衣服圧が 姿勢保持筋のサポートと,大腿筋や下腿筋のブレ抑制に働き,筋負荷と筋疲労を低減させる効果があることがわかった.また,心拍数やLF/HF,分時換気量においても,Cp 型タイツで生体負荷が低い傾向がみられ,高い衣服圧をもつタイツほど生体負荷が低い傾向がみられた.しかし,下腿内側を含む下腿後面に幅広く強伸縮部を配したCp 型タイツにおいて,腓腹筋内側頭のiEMG が高くなる傾向がみられたことから,走行時の筋の収縮による膨隆を阻害しない程度の衣服圧設計が必要であることがわかった.