布に触れた際,皮膚に生じる振動および摩擦の加齢変化を明らかにすることを目的とし,皮膚特性との関係性から検討を行った.対象は,高齢女性,若年女性各10 名,皮膚特性として,皮膚水分量・皮膚粘弾性・皮膚温の計測,および,12 種の試料布を指でなぞった際の皮膚機械刺激,即ち皮膚振動,皮膚摩擦を計測した.結果,加齢に伴い,皮膚振動は小さく,高周波成分を多く含んだ振動に変化し,皮膚摩擦は小さくなることが明らかとなった.これら皮膚特性と皮膚機械刺激との関係において,皮膚が硬いほど皮膚振動および皮膚摩擦は小さくなる傾向が示され,皮膚摩擦との間で有意な相関を得た.布に触れた際の触感は,皮膚から入力される物理刺激が,皮膚感覚受容器を通じて知覚されるため,本研究で得られた,皮膚機械刺激の加齢変化に関する知見は,着心地の良い高齢者衣服の設計,ひいては触感の機構解明に寄与すると考えられる.