繊維製品消費科学
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樹脂加工衣料品から遊離ホルムアルデヒドを除去するための工場洗たく法
金子 洋夫横山 鹿之亮
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1976 年 17 巻 10 号 p. 380-384

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抄録
樹脂加工衣料品から遊離ホルムアルデヒド量を75ppm以下に除去するための工場洗たく工程の検討と洗たく後の経時変化について次の結果を得たので報告する.
我々は試料のLaunder-Ometerによる洗浄試験を行った結果, 遊離ホルムアルデヒドの除去率に対しては, 機械力, 液温, アルカリ助剤等の影響が大きいことを知った.これを工場の洗たく方法に応用する場合, 工場洗たく工程は被洗物の耐洗たく性, 染色堅ろう性, 工場コスト等を考慮し, 洗たく法を「強洗たく法」と「弱洗たく法」の2方法に絞ってその効果を検討することとした.
その結果, 強洗たくは弱洗たくよりはるかに除去率が大きく, 数百ppmの遊離ホルムアルデヒド含有品をほぼ1回の洗たくで75ppm以下を達成し, 弱洗たくでは数百PPmの含有品でも3~5回, 100ppm前後の含有品でも1回で達成した.また, 強・弱洗たくとも外見上洗たく中の移染は起こらなかった.
なお, 洗たく後の経時変化の結果, ポリエチレン包装品は1~2週間で遊離ホルムアルデヒドがわずかながら増加し, その後はほとんど変化しなかった.また, 実験室内 (18~33℃) に放置した場合, 高含有品では大きな変化があり低含有品には大きな変化は認められなかった.
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