抄録
この研究の目的は, 身体に対する満足―不満感 (身体カセクシス) , 自己に対する満足―不満感 (自己カセクシズ) , と被服の間の関連性を検討することにあった.その方法として, 306名の女子大学生を対象に, 身体カセクシス, 自己カセクシス, 被服の満足感, 被服の近接感などを内容とする調査を行った.
因子分析法等を用いることで, 身体カセクシスの内容, 自己カセクシスの内容, 両者の間の関連性を知ることができた.また被服に対する満足グループと不満グループとでは, 身体カセクシス, 自己カセクシス, 身体の計測値において顕著な相違があった.前報との比較から, 被服に対する満足度は, 被服それ自体の属性はもとより, 身体や自己の諸特徴, それらに対する満足―不満度, それらに対する価値感情の水準から複合的に規定されると推察された.