1997 年 38 巻 10 号 p. 579-586
本研究は, 色彩嗜好と最も身近な服装の色彩嗜好が, 季節の影響をどのように受容するかを調査することを目的とした.同一 (76名) の女子学生に四季を通して同内容の色彩調査を実施し, 季節ごとに比較考察した.その結果, 好きな色は季節間の差異が認められたが, そのイメージは不変であった.服装にとりいれたい色とそのイメージには季節間の差異が認められた.
データを分析すると, 学生たちの流行の服装色をとりいれたい気持ちは, 流行に流されたくない気持ちに勝っていた.これは, 従来からの色のイメージと結びつけられてきた季節感の喪失に主に起因したものと考えられる.