2020 年 82 巻 3 号 p. 145-156
吹雪による被害を効果的に軽減するためには,その発生状況を面的かつリアルタイムに把握することが望ましい.本研究では,高時空間分解能を有するX バンドMP レーダによる上空の観測データから地上における吹雪の発生状況を定量的に把握することができるか,その可能性について検討した.まず,地上での降雪観測結果との比較によって,レーダ雨量から降雪強度を見積もるための補正係数を提示した.次に,Dual ドップラー解析により上空の風向風速を求めた.求めた降雪強度と風向風速から上空における飛雪流量を面的に推定し,地上での実測飛雪流量と比較した.その結果,落下中の降雪粒子の風による移流を考慮することで,地上における飛雪流量の推定値と実測値の相関が向上することが示された.