雪氷
Online ISSN : 1883-6267
Print ISSN : 0373-1006
氷の塑性に対する静水圧の効果
東 信彦
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1985 年 47 巻 1 号 p. 21-26

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抄録

最近, ミクロな立場から静水圧下の氷の塑性を調べる実験が行われるようになり, 多くの興味ある情報が得られている.特に, 低歪速度の転位クリープ領域では, 静水圧が高いほど, 単結晶中の転位速度は遅くなるのに対して, 多結晶氷は変形しやすくなるということが単結晶氷及び多結晶氷を用いた静水圧下一軸圧縮実験から明らかとなった.このことから多結晶氷の定常クリープ速度は転位の基底面上のすべりに支配されているのではなく, 自己拡散による転位の上昇運動かその他のプロセスに支配されていると考えられる.本報告では最近の筆者らの研究を中心に紹介し, 静水圧下実験の有効性を述べるとともにその問題点についても指摘する.

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© 公益社団法人 日本雪氷学会
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