雪氷
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オホーツク海の海氷面積と冬の大気循環との相互作用
山崎 孝治
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2000 年 62 巻 4 号 p. 345-354

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抄録

オホーツク海の海氷面積は冬季の大気循環により変動するが, 逆に海氷変動は大気循環に影響を与える.本研究では1-2月平均の大気場と海氷面積との間のラグを含む相関解析により, 海氷と大気循環の関係を調べた.
海氷はオホーツク海で西風が吹き気温が低下する時に拡大するという結論を得た.オホーツク海周辺の大気場と1月初めの海氷面積から十分な精度で1-2月の海氷面積を予測する回帰式を作ることができる.また東北地方以南の日本ではオホーツク海の海氷面積が広いと気温が高くなる相関が得られ, 海氷が日本の気候に与える影響を示唆する.半球規模の循環との関係では北大西洋振動/北極振動や西太平洋パターンと良い相関がある.
海氷が大気に及ぼすシグナルを取り出すために500hPa高度を用いた指標を定義し相関を調べた.日本~北米の4地点の指標と海氷はほぼ同時かやや指標が早いときに最大の相関がある.ところがアラスカ・北米のみで指標をつくると, 海氷が1ヶ月早いときに最大の相関となる.このことからオホーツク海の海氷はアラスカ・北米の大気循環に影響を及ぼしていると考えられる.
オホーツク海の海氷面積と冬季の北半球大気循環との相互作用をラグを含む相関解析によって調べた.

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