雪氷
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鳥海山心字雪で観察された近年の雪氷現象
土屋 巌
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2001 年 63 巻 3 号 p. 319-329

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抄録

鳥海山(2236m, N39°06', E140°03')南斜面に散在する吹きだまり型の万年雪(多年性残雪)のなかで,「心字雪」はその字画のように数か所に分かれている.2画目「大雪路」下部の標高約1600mにある「心字雪(S5)」は長年月にわたって消失したことがないが,その雪氷現象についての観察結果を,周辺の他の万年雪の場合と比較検討した.
「心字雪(S5)」は「氷河の国際分類」に基づいて小氷河に分類していたが(土屋,1974),1972~2000年期間に1996年が最大で1998年が最小であったなどの規模の年々変動,基盤地形と涵養機構との関連,形態的特色等を説明した.
「心字雪(S5)」が最小規模のときに観察できた基盤地形は,ごく小型ながら典型的圏谷地形であることを説明し,氷体が13年以上かけて圏谷底まで運んだ一つの巨礫の履歴を示す写真記録等に基づいて関連現象を考察した.

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