雪氷
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k-ε乱流モデルを用いた煙型雪崩の数値解析法の提案
衛藤 俊彦福嶋 祐介
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2003 年 65 巻 1 号 p. 3-14

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抄録

煙型雪崩は空気の乱れによって雪粒子が空中に巻き上げられ,空気と雪粒子の密度差により,斜面方向に流動する現象である.流れが二次元で,雪粒子の流動が乱流拡散で記述できると仮定し,k-ε乱流モデルを用いて煙型雪崩の数値解析手法を提案した.基礎方程式は,連続式,レイノルズ方程式,乱流拡散方程式に加え,乱れ運動エネルギーの式,分子粘性消散率の式である.また,底面での境界条件として雪の連行係数を用い,雪粒子の底面から巻き上げ,底面への沈降を考慮した.本研究で用いた乱流モデルの係数は,他の研究者によって行われた,多くのタイプの異なった乱流の実験との比較で同定された係数の値をそのまま用いた.著者らの実験値と合わせるために調節するパラメータは含んでいないことが,本モデルの大きな特徴である.本モデルは煙型雪崩のシミュレーションを目的とするが,その検証として,実験のやり易い粒子浮遊傾斜サーマルの実験結果との比較を行った.浮遊傾斜サーマル流下速度,最大厚さ,固体粒子総量の実験値を今回の数値解と比較した.さらに今回の解析では,流速ベクトル場,等濃度線も求めることができる.

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