雪氷
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吹雪跳躍層の鉛直構造と気象・積雪条件の関係
佐藤 威東浦 將夫
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2003 年 65 巻 3 号 p. 197-206

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抄録

雪面付近の飛雪流量鉛直分布の野外観測結果に対して,河村(1948)による飛砂の質量フラックスの理論式を適用し,吹雪跳躍層の鉛直構造を表すパラメータ(飛雪粒子の跳躍高度h0,雪面での飛雪流量q0,跳躍層高度hsal)および全吹雪輸送量Qsalを求めた.これらと,摩擦速度,降雪の有無,気温,ならびに積雪深の変動と気温から推定した積雪硬度との関係を調べた.ただし,降雪強度の大きい時の観測値はあらかじめ解析対象から除いた.主な結論は次の通りである.
(1) h0,hsalは摩擦速度とともに増大し,積雪硬度が小さい(大きい)時に小さく(大きく),降雪の有無には依存しない.また,hsal/h0〓6.5である.
(2) q0,Qsalは摩擦速度とともに増大し,積雪硬度が小さい(大きい)時に大きく(小さく),降雪の有無による違いはない.
(3) h0,q0,Qsalの値は,しまり雪を用いた風洞実験の結果と矛盾しない.

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