スギ・広葉樹混交林に発生した冠雪害の被害状況について,スギ林と比較し,その特徴を検討した.混交林や林縁部の被害は,スギ林に比べて著しく,スギ林の冠雪害でよくみられる被害木の集中分布は認められなかった.どの林分でもスギ,広葉樹は形状比が高い個体ほど被害が著しかったが,同じ形状比で比較した場合,混交林,林縁部はスギ林よりも被害率が高かった.このため,混交林とスギ林の被害の違いが単に形状比の違いだけで説明することはできなかった.また,混交林ではスギも広葉樹も小さいサイズの個体に被害が偏っており,林冠ギャップのある針葉樹林における被害の特徴と類似していた.そして,降雪遮断率の低い広葉樹が混在する混交林は,林冠ギャップが散在する間伐後のスギ林と同様に冠雪害に対する危険性が高い林冠構造を呈していた可能性が示唆された.