2005 年 67 巻 6 号 p. 493-503
回転楕円体および角柱でモデル化した飛雪粒子がランダムに方位していると仮定して,スノー・パーティクル・カウンター(SPC)で測定される飛雪流量と真の飛雪流量の比を理論的に求めた.また,粒子形状の異なる雪を使用してSPCとネット式吹雪計による飛雪流量の比較実験を行った.
理論的検討より,粒子形状が回転楕円体の場合は非球形度が増すほど,角柱の場合は薄く板状に近づくほど,あるいは細長くなるほど,SPCで測定される飛雪流量はより過大に評価されることが明らかになった.比較実験の結果は理論的検討の結果と整合するものであった.すなわち,飛雪粒子が樹枝状結晶(人工雪)の破壊されたものからなる時は,SPCによる飛雪流量はネット式吹雪計によるものよりかなり大きくなるが,飛雪粒子が粒状の時は両者はほぼ一致する.
Sato et al.(1993)による野外におけるSPCとネット式吹雪計の比較観測の結果について,本研究の結果に基づき再検討し,雪面が硬く削剥が生じないような特殊な場合を除けばSPCによる飛雪流量の測定が概ね正確であることを示した.