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環境科学会誌
Vol. 29 (2016) No. 6 p. 283-295

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http://doi.org/10.11353/sesj.29.283

一般論文

水利用システムには多面的な評価軸が存在し,それらの間にトレードオフが生じる場合,多様な価値観を持つ利害関係者それぞれの選好に対応する代替案は異なると考えられる。本研究では,多目的最適化による解に基づいた,多様な利害関係者間の合意形成支援法の提案を目的とした。

まず,多目的最適解にパレート改善を適用し,71個の代替案を導出した。さらに,得られた解の特性を把握するため,目的関数間及び目的関数と設計変数間の相関分析を行った。その結果,再生水余剰量を多くする解や上水代替に再生水を多く使用して対象地域への影響を小さくする解,流域外への環境影響を小さくする解など,様々な特徴を持つ代替案が含まれていることが確認された。

次に,多目的最適化によって得られた解を合意形成に使用するために2段階の合意形成を提案し,各段階の合意形成において提示する代替案のプロファイルを作成した。第1段階の合意形成では,目的関数上の特徴から利害関係者にとって好ましい代替案のグループを選択する。そのために,多目的最適解にクラスター分析を適用して,特徴の異なる8つのグループに分類し,レーダーチャートによって各クラスターの特徴を提示した。第2段階では,第1段階で選択されたクラスターに含まれる各解について設計変数を確認し,一つの好ましい代替案を選んでもらう。そのために,施設数や再生水の用途のグラフ,施設立地や給水範囲等の地図を提示した。

本研究の方法では,代替案作成者の恣意性を排除して網羅的に生成されたパレート解をもとに,各段階で比較するクラスターや代替案を比較的少数に限定できる。そのため,多様な価値観に対応しつつ合意形成を支援できる方法であると考えられる。

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