嫌気性消化処理から得られたバイオガス中にCO2は一般的に40%程度含まれているが,その利活用についてはあまり検討されていない。本研究では陸上での海藻養殖にこのバイオガス由来のCO2を利用し,海藻の生産性を高めることを目的とした。まずは先行実験としてベンチスケール(500 mL培養槽)においてスジアオノリに対してCO2施用濃度などの初期培養条件やCO2施用効果を確認した。このベンチスケールにより得られた培養条件をもとに,パイロットスケール(100 L培養槽,1000 L培養槽)において海藻養殖を行った。その結果,バイオガス中のCO2施用により,海藻の生産量は約2倍増加したことを確認した。さらに,CO2施用効果を検証した上で,事業化における採算性について考察したところ,陸上養殖を行う際に海水の循環使用がコスト削減に大きく影響することを明らかにした。