環境科学会誌
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燃料選択—インド農村部における社会・経済的要因の分析—
Mriduchhanda CHATTOPADHYAY 有村 俊秀片山 東作道 真理横尾 英史
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2017 年 30 巻 2 号 p. 131-140

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抄録

途上国の家庭内での調理に起因する室内大気汚染が問題視されている。調理時に発生する煙の健康への悪影響が報告されている。調理時に使用する燃料・エネルギー源を変えることでこの室内大気汚染を減らすことが可能であるが,途上国の多くの家庭が汚染を引き起こす伝統的な燃料の使用を続けている。家庭の燃料選択を対象とした実証研究が始まっているが,家計レベルのミクロ・データセットを用いた研究はまだ少ない。本研究はインド・西ベンガル州の68世帯を対象としたフィールド調査と収集したデータを用いた計量経済学的分析によって,インドの家計の燃料選択に影響を与える社会経済的要因を明らかにした。対象地域から無作為に抽出した家計の調理担当者を対象としてインタビュー調査を行い,薪・牛糞・石炭を「汚い燃料」,ケロシン・液化天然ガス・電力を「きれいな燃料」と定義し,データを生成した。家計の燃料選択をランダム効用モデルを用いてモデル化し,収集したデータを用いて,回帰分析を行った。ロジット・モデルを用いた最尤法による回帰分析の結果,調理が家の中で行われる家計ほど,また,燃料を無料で入手することができない家計ほど,「きれいな燃料」を選択することがわかった。加えて,「家計所得」,「回答者の年齢」,「教育水準の高さ」に関する指標と「きれいな燃料」の選択との間に正の相関が見られ,「家計の構成員数」,「最も近い市場への距離」に関する指標と「きれいな燃料」の選択との間に負の相関が見られた。これらの結果を活用し,家計の社会経済的状況に応じた室内大気汚染削減政策を立案することが求められる。

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