環境科学会誌
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一般論文
炭素税・FIT賦課金による産業・家計への影響—産業連関分析による定量的評価—
亀岡 澪有村 俊秀
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2019 年 32 巻 4 号 p. 103-112

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抄録

震災以降,再生可能エネルギーの普及のために,再生可能エネルギー発電促進賦課金(以下,FIT賦課金)が導入されてきた。また,パリ協定以降,温室効果ガスの削減手段の一つとして,カーボンプライシング(以下,CP)の重要性が増している。一方,CPは産業や家計に負の影響を与える可能性が指摘されている。そこで,本研究は,2011年産業連関分析を用いて,CPの一つである地球温暖化対策のための税(以下,温対税)とFIT賦課金が,産業・家計にどのような影響を与えているかを分析した。さらに,どのような軽減措置が取られるべきかを考察した。

分析の結果,以下の三点が明らかになった。第一に,産業への影響(価格上昇率)は温対税の方がFIT賦課金よりも大きい一方で,家計への影響(家計費上昇率)はFIT賦課金の方が温対税よりも大きい。第二に,温対税・FIT賦課金による家計費上昇率は,低所得世帯・寒冷地世帯・電気料金単価の低い地域の世帯で高いだけでなく,高齢者世帯でも高い。第三に,産業への軽減措置は,価格上昇率・家計費上昇率に緩和効果がある一方で,軽減対象以外の産業の価格上昇率や,家計費上昇率の逆進性には緩和効果がない。

以上の分析から,価格上昇率の高い産業への軽減措置だけでなく,家計費上昇率の高い家計への軽減措置が取られるべきであることが示された。特に,低所得世帯・寒冷地世帯・電気料金単価の低い地域の世帯・沖縄の世帯・高齢者世帯を対象とした,エネルギー費の補助や住宅の断熱改修費の補助などが有効だと考えられる。

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