環境科学会誌
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総合論文
社会科学的アプローチによる気候変動の影響評価と適応策の検討の必要性—岡山県備前市日生地区の水産業へのインタビュー調査の結果を中心として—
白井 信雄西村 武司中村 洋田中 充
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2021 年 34 巻 6 号 p. 231-246

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抄録

気候変動の地域への影響評価と適応策の検討において,自然科学的アプローチとともに,社会科学的アプローチが必要である。社会科学的アプローチには,自然科学的アプローチだけでは不十分な次の4点,すなわち,(1)社会経済面も含めた影響の全体解明,(2)弱者の視点での影響評価,(3)構造的適応策(感受性の改善)の検討,(4)住民や事業者の参加と学習の促進(適応能力の向上)について,補完し,強化する役割があるためである。

この社会科学的アプローチの有効性を明らかにすることを目的として,本稿では,日本において関連する社会科学的アプローチのうち,「地域主体とともに影響構造の把握から適応策の立案を図る研究」として位置づけられる2つの研究を報告した。1つは,既存論文で報告している長野県高森町における市田柿に関する適応策のアクション・リサーチである。もう1つが岡山県備前市日生地区における水産業への気候変動の影響に関する研究である。

これらの2つの研究は,気候変動の影響を受ける生産者(農業従事者あるいは漁業者)に対するインタビュー調査及びアンケート調査を実施し,地域の特殊な状況を反映した気候変動の影響構造を明らかにした。また,その特殊な状況に対応する,経営面に踏み込んだ地域ぐるみの適応策の可能性を提示した。

本稿が社会科学的アプローチによるアクション・リサーチが各地で展開される際の一助になることを願っている。

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