環境科学会誌
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研究資料
食料支援団体の現状および市民農園との連携受容性
森島 隆宏栗栖 聖中谷 隼青木 えり森口 祐一
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2021 年 34 巻 6 号 p. 281-288

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抄録

日本では現在,低所得層の割合が増加し,特に子どもの貧困率が上がっている。まだ食べられる食品を収集し低所得世帯に提供するフードバンクは食品廃棄物と貧困の双方の問題解決に貢献しうるが,提供される食品は乾物類が中心となり野菜が不足する点が指摘されている。本研究では市民農園の野菜をフードバンクなどの食料支援団体を通じて低所得層に提供するシステムを将来的に構築できないかと考え,その第一段階として野菜の受け取り手である食料支援団体の現状および市民農園との連携可能性に関して明らかにすることを目的とし,日本全国のフードバンクおよびこども食堂に対し2019年12月にアンケート調査を実施した。フードバンク38団体およびこども食堂94団体より回答を得た。

食料支援団体は当初想定した以上に農家から野菜提供を受けていた。しかし,フードバンクはこども食堂よりその割合は少なかった。市民農園との連携に関しては,こども食堂の9割近くが連携に積極的な回答であったのに対し,フードバンクおよび特にこれまで野菜を取り扱っていない団体は連携に消極的だった。既往の野菜取り扱い経験に加えフードバンクでは提供時期および品質・種類への懸念が,連携可能性に有意に負の影響を与えていた。

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