環境科学会誌
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一般論文
大阪府内浄水場の水道原水および浄水中におけるイプフェンカルバゾンの存在実態
長谷川 有紀 小池 真生子高木 総吉吉田 仁安達 史恵小泉 義彦中島 孝江竹中 凜代山口 進康
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2022 年 35 巻 2 号 p. 59-66

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抄録

大阪府内浄水場10地点を対象に,水道水質検査における要検討農薬類であるイプフェンカルバゾンの存在実態を固相抽出-液体クロマトグラフ-質量分析計による分析法を用いて調査した。その結果,水道原水中のイプフェンカルバゾンは,夏季において6地点から0.0013~0.14 µg/L,冬季において4地点から0.00077~0.0020 µg/Lの範囲で検出された。水源別にみると表流水および伏流水から検出された。浄水中では夏季において5地点から0.00066~0.086 µg/Lの範囲で,冬季において2地点から0.0014 µg/Lおよび0.0015 µg/Lで検出された。イプフェンカルバゾンの検出濃度を厚生労働省が定める目標値(2 µg/L)と比較した結果,目標値を超過した地点は存在しなかった。浄水場の水道原水および浄水中の検出濃度から除去率を算出したところ,本研究で対象とした高度浄水処理がイプフェンカルバゾンに対して有効であると考えられた。

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