環境科学会誌
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炭酸カリウムを用いた薬品賦活法による食品廃棄物を原料とした活性炭の製造
林 順一室山 勝彦藪ノ 美樹大谷 毅
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2000 年 13 巻 5 号 p. 632-635

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抄録

 本研究は,食品廃棄物の有効利用法のひとつとして,高比表面積を有する活性炭の製造の可能性について検討したものである。食品廃棄物として小麦粉を製造する際に排出されるフスマおよびコーヒー飲料の製造の際に排出されるコーヒー粕を原料とし,賦活剤として炭酸カリウムを用いた薬品賦活法によって活性炭を製造した。炭酸カリウムを原料に含浸し,窒素雰囲気中で炭化・賦活を行った。得られた炭化物質を熱水で洗浄して,炭化物質中に残留している炭酸カリウムを取り除き活性炭を得た。なお,含浸率は0~4.0の範囲で,炭化・賦活温度は500~900℃の範囲で変化させた。得られた活性炭の比表面積,細孔容積(ミクロ孔容積,メソ孔容積)を測定し,製造条件が細孔構造に及ぼす影響について検討した。フスマの比表面積は,炭化・賦活温度が800℃まで増加し,900℃になると減少した。また,含浸率は1.0で比表面積が最大となり,それ以上の含浸率でもあまり変化がなかった。含浸率1.0,炭化・賦活温度800℃で比表面積が最大(1730m2/g)となった。コーヒー粕の場合,比表面積は,フスマの場合と同様,800℃で最大となり,それ以上の温度では減少した。また,比表面積は,炭化・賦活温度800℃,含浸率2.0で最大値2166m2/9となった。フスマ,コーヒー粕どちらを原料とした場合も,市販活性炭よりも大きな比表面積を有する活性炭を製造できた。

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