環境科学会誌
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京都府沖合海域における資源管理型漁業の実証分析
牧野 光琢坂本 亘
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2001 年 14 巻 1 号 p. 15-25

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抄録

 本研究では,京都府沖合海域において定着しつつある,ズワイガニ資源管理型漁業の実証分析を試みた。ズワイガニ底曳網漁業の生産関数分析より,出漁日数当り漁獲金額を増加させるためには,資源管理施策(操業自主規制と保護区設置)の強化が大きな効果を持つことが明らかになった。特に,ズワイガニ禁漁期間中に他魚種を漁獲する際の混獲を防ぐため,漁場の一定割合を底曳網操業禁止にする操業自主規制が,保護区設置の約2倍の効果をもつことが明らかになった。次に,自主規制実施のインセンティブである,各漁業者にとっての漁業利潤の経年変化を算出した。その結果,高い自主規制率と保護区設置策により漁業利潤は大きく改善されたこと,現在の自主規制(規制率97%)は飽和状態にあることなどが推定された。また,操業自主規制に伴う他対象魚種(ハタハタ・アカガレイ)の漁獲減はなかったことも明らかとなった。こうした資源管理施策実施のためには,インセンティブ主導で行われる自主協定団体の働きと,実施を側面的に支持する上での行政・研究機関の役割が重要である。自主協定団体による資源管理型漁業の推進については「海洋法に関する国際連合条約(国連海洋法)」に対応する国内法である,「海洋生物資源の保存及び管理に関する法律(TAC法)」においても,その可能性が期待されており,本事例はそのモデルケースとなろう。

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