人に対する長期毒性の確度情報による化学物質のランク分け方法

抄録

　本研究では,定量的な毒性強度の情報がない有害化学物質についても,優先的に環境安全管理を進めるべき物質を適切に選択したり,毒性情報を専門家以外に平易に伝える1)ことができるようにするため,前報2)で示した定量的な毒性強度によるランク分け方法の続報として,人に対する長期毒性を示す確からしさの程度(確度)の情報からランクを決定する方法を提案して考察した。長期毒性としては,国際的な機関,日本または米国の政府機関,および専門家機関等から信頼できる確度隋報が入手できる発がん性,生殖毒性とこれらを補う変異原性,および感作性を対象とし,人に対して明確な影響がある物質をAランク,影響がある可能性が高い物質をBランク,可能性がある物質をCランクに分類する方法を提案して1332物質(群)のランク分けを行った。また,各毒性でランク分けされた物質(群)数とそれらの相互関係,および前報で定量1青報をもとにランク分けされた物質(群)数との関係,およびPRTR対象物質との関係などを考察した。