環境科学会誌
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CVM調査票における新しい情報提供方法と被験者の反応:プロトコル分析を用いた調査票評価に関する予備的考察
肥田野 登加藤 尊秋風早 隆弘
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2003 年 16 巻 6 号 p. 435-452

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抄録

 本研究はContingent valuation methodにおける調査票作成技法の改善を目指し,プロトコル分析法を導入するための予備的考察を行った。そして,地球温暖化防止のための二酸化炭素排出量削減策を例に2つの新しい調査票設計概念の評価を行った。第一にハイパーテキストのリンクを用いた環境財や環境改善策についての情報提供である。第二にリンクを用いたシンボリックバイアスの軽減策である。まず予備実験においていくつかの発話採集方法を比較することにより,多くの発話が得られる方法を選定した。つついて大学生・大学院生の被験者21名による本実験を行い,ハイパーテキストによる情報提供の効果を調べた。この結果,内容を絞って情報を提示するリンクの方が,被験者に自由に情報を探させるリンク集型のリンクよりも使われやすいことが示唆された。また,リンクを設置すると,第三者の意見を参照する度合いが高まり,さらに調査参加への満足の度合いも高まることが示唆された。ただし,Willingness to payの回答時の発話に絞ると,第三者の状況への言及度合い,また,fair share的回答の発生状況には,リンクの有無による差がみられなかった。次に,シンボリックバイアスの軽減に関して,環境改善策を複数提示する方策と賛否両方の情報を提示する方策を試した結果,いずれもともに行った場合に効果がみられた。ただし,一部の被験者については,改善策の複数提示の方が効果があることが示唆された。

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