抄録
最終処分場への搬入審査における生物毒性試験の適用法の検討のために,都市ごみ焼却施設の飛灰・底灰,建築廃材と不燃物混合物中間処理後の埋立処分される分別残土,シュレッダーダスト,石膏ボード粉砕物,木くず,都市下水脱水汚泥の7種の廃棄物について環境庁告示第13号による溶出試験液の一般水質,無機・有機機器分析ならびに大ミジンコ急性遊泳阻害試験,藻類生長阻害試験,ヒト肝がん細胞毒性試験,ならびに培養細胞EROD活性試験を行った。ICP-発光/質量分析結果から飛灰溶出液のPbが埋立基準値を超えた他は超過はないが,飛灰,木くず,脱水汚泥でZnが1mg/1を超えるなど灰以外の廃棄物,とくに脱水汚泥からの金属溶出についての考慮が必要であった。急性毒性について飛灰,ついで底灰とシュレッダーダストの溶出液が10倍希釈時も毒性を示し,重金属の寄与は確認されなかった。また,脱水汚泥に有意なEROD活性が検出され,PAHの寄与が示唆された。浸出水,溶出液にみられる高濃度塩類の毒性の考え方と有機物質の影響による藻類の過増殖について毒性試験における対処法を示し,藻類,甲殻類試験:では塩化ナトリウムによる標準曲線補正,培養細胞では培地の塩類濃度調整による対応が適当であるとした。