抄録
地球環境を対象としたモデリングは,統合評価モデルとして環境だけではなく社会・経済活動も含めた広範囲な対象を記述することが求められており,モデリングの基礎となる様々な学問分野の知見と環境政策とのインターフェイスとしての役割が期待されてきた。これまでにもIPCCのSRESをはじめ,MA(ミレニアムエコシステムアセスメント),UNEP(国連環境計画)のGEO(世界の環境見通し),OECDの環境見通しなど,将来シナリオを描く際に,環境政策の効果を定量的に評価したり,将来の社会・経済活動と環境変化の間の整合性を確認するために,定量的なモデルは利用されてきた。今後は,個々の学問分野における新たな知見に基づいて,モデルを構成する各部分が改良されるとともに,モデルで表現される社会像と現実社会とのギャップをこれまで以上に埋めることが課題となる。また,問題の複雑さに比例して巨大化・複雑化するモデルはブラックボックスと批判されることもあり,モデルの透明性を高めることが,モデルの環境政策への適用という視点から重要となる。一方,モデリングと一体で行われているシナリオ開発では,IPCC第5次評価報告書に向けた作業が開始されており,様'々なモデルの連携や途上国からの情報発信(人材育成を含む)が期待されている。