環境科学会誌
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発がん性物質への曝露がもたらす発がんリスクの損失余命による表現―生命表を用いた換算―
蒲生 昌志岡 敏弘中西 準子
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1996 年 9 巻 1 号 p. 1-8

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抄録

 発がん性物質を含む化学物質への曝露によるリスクの尺度として,損失余命を提案した。損失余命を用いることの利点は,曝露や影響の年齢を考慮できる点,および,がん以外の影響についても推定が可能な点である。ここでは,10-5という生涯発がんリスク(生涯曝露すると10万人に1人がその曝露により過剰に発がんするリスク)を,生命表を用いて損失余命に換算する手法を説明し,推定値を求めた。発がん性物質への曝露と過剰ながん死亡との関係について,放射線発がんのデータを基にしたモデルを基準モデルとし,モデルの検証の意味で,仮定を一部変更したモデルも検討じた。10-5の発がんリスクに相当する曝露レベルに生涯曝露することの損失寿命は66分と推定された。また,同様なレベルの曝露が存在する労働に20歳から49歳の間従事することによる損失寿命は12分と推定された。さらに,平均的な日本人が1年間曝露した場合の曝露年齢での損失余命は0.83分と推定された。

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