本論文では,敷設が比較的容易なU字管型地中熱交換器の蓄熱能力,そして札幌における地中蓄熱型冷暖房システムの利用可能性を検討した.まず,解析により,ダブルU字管型の性能が,鋼管井戸型とほぼ同等であるこどを示した.次に,解析結果を踏まえて3種類の熱交換器を埋設し,暖房実験とパッシブ冷房実験を行った結果,各熱交換器の性能は解析結果と同様であった.不凍液温度は暖房,冷房時でそれぞれ約-2.4,20℃であり,土壌は冷暖房のための蓄熱体として有効であることが示された.さらに,鋼管井戸型を対象に,年間シミュレーションを行った結果,冬期採熱量の実験値は計算値より大きく,その原因は地下水の流れによるものと考えられる.