抄録
地域熱供給システムを総合的に評価する手法の検討を目的として,前報で提案した10種の指標の相対的な重要性を明らかにするためのアンケートを実施した.その結果より各指標の重みを定めた.この重みを基に,多目的評価手法の一つであるコンコーダンス分析法により前報で示した7種の熱供給システム間の優劣関係を試算した.その結果,経済性は不利だが環境性・省エネルギー性などで優れるごみ焼却廃熱利用,コージェネレーション,河川・海水熱源ヒートポンプシステムが他のシステムに優先した.ただし,これら三者の間の優劣関係は地区熱需要の差や,重みの回答主体による差,各指標の計算手法の違いにより変化した.