2000 年 25 巻 77 号 p. 21-30
本研究は廃タイヤ焼却により生成される熱と焼却残さの複合的再利用システムの開発の一環として,帯水層蓄熱システムを用いた熱の有効利用について実測調査し,本システムの性能を明らかにすることを目的として行ったものである.まず,廃タイヤ焼却により生成された温水,蒸気,活性炭の物質収支およびエネルギー収支を調べ,廃タイヤ利用の一つの方法について述べた.帯水層蓄熱システムについては,帯水層井戸からのくみ上げ流量,温度,熱量を14年間にわたって計測して,その有効性を明らかにし,積算熱回収率が約70%に達することを示した.次いで,帯水層蓄熱のシミュレーション解析を行い,その特性を検討するとともに実験結果とよく合うことを示した.また,水質検査結果から順調な運転が行われていることを明らかにした.