本研究は、病院や寝室などにおける仰臥(ぎょうが)安静時の人体を対象とした天井放射冷房システムの制御条件とそのときの熱的快適性を被験者実験から明らかにし、本システムの設計に資するものである.実験は青年男女計5名を対象に、一般に病院などで用いられている寝間着を着装してベッドに仰臥させ、天井面温度と壁温を変えて計28回の主観申告実験とそのときの人体の生理反応を測定した.今回の被験者実験においては、天井放射冷房時の仰臥安静人体が中立温感を示すSET^*は27.0℃、好ましい温熱環境時のPMVは0.2から0.3であることを明らかにした.また、足の甲などの露出部分の皮膚温の低下が不快感に繋がっていること、放射感と好感度の関係は薄いことなどを示した.