空気調和・衛生工学会 論文集
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自然通風併用型放射冷房システムに関する研究 : 第1報-放射パネル冷房方式と床吹出し冷房方式の比較
宋 斗三加藤 信介村上 周三金 泰延
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2002 年 27 巻 87 号 p. 61-68

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抄録

本論文は、自然通風併用型放射冷房システムの概念およびその有効性の検討を目的とする。本研究で検討する冷房システムは、自然通風と放射パネル冷房をハイブリッドしたもので、外気環境が良好な時期には、通風により屋外環境を室内に導入して最大限、自然の力で室内の環境調整を行うことを基本としている。また、屋外が高温となり、通風により室内を冷却することが困難な場合でも、室内低部の居住域を余り乱すことなく、室内で発生し浮力により、空間上部に上昇する熱や汚染質を効率よく室外に排出できる。更に、室内下部、居住域への放射冷房パネルの設置により、相対的に密度の大きい冷気がたまるため、高温の外気を室内上部に導入しても効率的に(省エネルギー的に)局所冷房が達成されると思われる。自然通風併用型放射冷房システムの有効性を示すため、本報(第1報)では自然通風併用型放射冷房システムを自然通風と床吹出し冷房を併用したハイブリッドシステムと比較し、その省エネルギー効果を検討する。解析は、対流・放射・湿気輸送と空調制御の連成シミュレーションにより行い、人体におけるPMVが目標値(=0.5)となる条件での室内温熱環境性状、空調負荷などを検討する。次報では、真夏の厳しい外気条件の下で、この自然通風併用型放射冷房システムの有効性を検討した結果を報告する。

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© 2002 公益社団法人 空気調和・衛生工学会
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