2006 年 31 巻 108 号 p. 11-19
鋼管基礎杭を地中熱交換器として用いた採熱実証試験とその応用手法について報告する。まず、地中熱交換器の口径、仕様などを変更して採熱量の測定と比較を行った。次に、試験の実測値をもとに、無限円筒表面熱流応答理論を応用して、地中の有効熱伝導率の推定を行った。長さ40m、口径φ165mmの直接熱交換型地中熱交換器の実測結果に対して、熱伝導率を1.5W/m/Kとして与えた場合に、計算結果が試験結果を良く再現する事が確かめられ、これよりこの値が地中の有効熱伝導率であると推測された。さらには鋼管内部の熱抵抗値を明らかにするとともに、間接熱交換型地中熱交換器の内部熱移動計算手法を示した。この計算手法を用いて計算した地中熱交換器からの還水温度の変化は実測の還水温度とほぼ同様の結果が得られ、本計算方法が間接熱交換型地中熱交換器の計算に有効であることを裏付けた。