抄録
屋根散水のように建物の外表面を水で濡らし、その蒸発冷却面温度を湿球温度の考え方を応用して簡易計算を可能にする方法を提案した。その方法は、乾いた面の表面温度を算出したのち、その温度と外気の絶対湿度から湿球温度を算出する。これを表面湿球温度と定義し、その温度と蒸発冷却面温度との関係を演繹的に示し、その精度を検証した。この演繹式により蒸発冷却面温度や表面湿球温度などと各要素の関係が明らかになり、蒸発冷却面の温度が建物外皮の熱コンダクタンスや室温に影響されにくい事を示した。また、この計算方法は湿り空気線図を併用することで蒸発冷却面の温度を表現することが可能であることを示した。