空気調和・衛生工学会 論文集
Online ISSN : 2424-0486
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国土数値情報を用いた地下熱利用システムの導入可能性に関する研究
濱田 靖弘田中 慎哉長野 克則田村 裕滝川 郁美中村 靖丸谷 薫高清水 康博高田 雅之
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2009 年 34 巻 143 号 p. 1-10

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抄録

本論文は,地理情報システム,水理地質情報等に基づき,北海道内の主要地域を対象として,地下熱利用システムの設計に適用することを目的とした地盤物性,地下水性状に関するデータベースの作成を行ったものである.また,建築杭基礎利用を想定した地質硬さ情報を整備するとともに,導入適正地の概略を相対的に把握するための地盤熱源ポテンシャルを提案している.まず,札幌・札幌近郊・旭川・帯広の四地域の地下水位,地下水流速,帯水層厚さ,平均熱伝導率,平均熱容量,地盤熱源ポテンシャル,地質硬さをデータベース化し,マップ上に示した.次いで,地盤熱源ポテンシャルの地域別分布を集計し,札幌地区においては,A以上,B,C,Dの地域が,それぞれ全体の12.4%,12.2%,47.2,28.2%を占める結果となっており,札幌駅周辺等での導入可能性が高いことが示唆された.また,札幌近郊,旭川地区におけるA以上の地域の面積割合は,いずれも36%と高い値を示したのに対して,帯広地区は,平坦な地形が多いために19%となった.さらに,N値により支持層深度を推定した結果,札幌地区と札幌近郊では,20m以上の地域が存在するのに対し,旭川地区と帯広地区は全ての地域において地下0〜20mでN値50に達していることがわかった.

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© 2009 公益社団法人 空気調和・衛生工学会
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