2017 年 42 巻 242 号 p. 1-10
本研究は,偏向板を有する室内左官内装仕上げ近域における自由対流の様相を検討するものである。まず,平滑なアルミニウム板を垂直に設置して加熱し,表面近傍に生じる自由対流の流速と温度の分布を測定した。また測定結果を既往の研究成果と比較して実験装置の精度を検討した。次に,表面の平滑度が異なる内装左官仕上げ表面の自由対流熱伝達率を同装置で測定して比較した。比較的平滑な左官面と凹凸のある左官仕上げ面の局所熱伝達率の間には,測定の範囲内において顕著な差異はみられなかった。最後に,偏向板により流れ方向を変えた自由対流の偏向角及び,室内側に侵入した自由対流の軌跡に関する検討を行い,理論解析の結果と比較した。