病院空調の加湿方式として水気化式加湿器の選択肢が増え,この採用が病院の一般系統を中心に進んでいるが,実運用における衛生上の長期的特性は,これから事例を蓄積して評価すべき段階にある。本研究では,滴下式の水気化式加湿器が採用された総合病院の外気処理空調機を対象に,竣工後3 年間に亘って加湿空気の微生物汚染に関する調査を行い,この加湿方式に対する長期的な実運用特性を衛生面から評価した。さらに,空調システムの運転実績をもとに,蒸気式・気化式加湿方式に対する加湿運転のエネルギー性能評価を行った。この結果より,空調給気に含まれる微生物数は,蒸気式・気化式の加湿方式によらず同程度であり,竣工後3 年目においても給気が清浄な状態に維持されていることを確認した。また,加湿運転のエネルギー性能を外気処理エネルギー効率で評価し,この効率が気化式加湿器で高くなることが実証された。