2021 年 46 巻 286 号 p. 21-28
電力系統の需給が逼迫しつつあることを背景に,需給バランスを保つための需要側で行うデマンドレスポンス(DR)制御が期待される。本研究は詳細なシミュレーションによって様々なDR 制御の効果を算出・評価することを目的とする。本報では水・空気回路の収束計算を含めた空調・建物の統合システムシミュレーションを構築し,実際の空調自動制御ロジックを組み込むことより,制御挙動を再現可能とした。また,6 つのDR 制御カテゴリーを想定し,ベースラインに対する電力デマンド削減と室内温熱環境変化の比較をケーススタディにより行った。本シミュレーションを用いDR制御により変化した電力デマンドと室内温熱環境に基づき、事前にDR 要請と温熱許容範囲を考慮する制御手法の検討が可能となる。