2022 年 47 巻 304 号 p. 1-10
業務用建築物の省エネルギー化に対して、エリア内の複数建物に熱供給する地域冷暖房システムは面的なエネルギー有効利用が可能であるが、エリア開発の拡大に伴い順次プラントが増設されるといった複雑な状況が生じる。その際、プラント間の熱融通によってエネルギー効率向上が期待されるが、熱融通は搬送動力の増加が見込まれるため運転状態の把握が必要となる。本研究は、シミュレーションを用いて地域冷暖房システムにおける複数プラントの効率的な熱融通の運用手法を提案することを目的とし、実在する地域冷暖房システムの2 つのプラントを対象に搬送系や制御系を組み込んだ詳細なシミュレーションモデルを構築して、熱融通を効果的に実行するための制御設定値の熱融通マトリクスを提案した。