2022 年 47 巻 309 号 p. 11-19
建築物のライフサイクルを通して省エネルギー化に寄与するコミッショニング(Cx)が日本で普及していない理由の一つとして,Non-Energy Benefit(NEB)が十分に評価されていないことに着目し,Cx 導入時に生じるNEB 項目をまず網羅的に整理した。これに基づき国内事例における実態を関係者へのヒアリングにより調査し,各項目の有無を分析するとともに,一部の項目でその価値を定量的に示した。また,実態調査を通じて日本の建設業の課題とCx の関係性について考察した。今後の展望としては,本論文で提案した NEB 評価手法の改良,調査対象事例の増加,プロジェクト特性と NEBの有無・大小関係の考察をもとにしたNEB推定手法の開発が挙げられる。