2022 年 47 巻 309 号 p. 21-30
本論文では,オフィスビルの脱炭素化への道筋を明らかにすることを目的とし,ビルオーナーとテナントからなる,マルチエージェントシミュレーションにより BEI義務基準や改修補助金といった施策シナリオを検討した。そのためにまず,既往のシミュレーションプログラムの各種パラメータを再調整し,電力・ガスの CO2 排出係数を新たに組み込むなど修正・改善に取り組んだ。シミュレーションの結果,検討した施策内容では 2030 年までに CO2 排出量を 51%削減することは困難であることが推察された。一方で,継続的に施策の見直しを行うことで,2050 年までに 70~90%程度削減できる可能性も推察された。