2026 年 51 巻 353 号 p. 1-10
本研究は、全熱交換換気設備を対象として時間基準メンテナンス(TBM)の限界を整理し、センサ情報に基づく状態基準メンテナンス(CBM)が換気性能維持に及ぼす効果を明らかにすることを目的とする。換気設備の主要構成要素の劣化進行と故障発生をモデル化し、フォルトツリー解析に基づき性能低下との因果関係を整理したうえで、評価期間 15 年のモンテカルロシミュレーションを実施した。グローバルモニタリング・ローカルモニタリング・併用モニタリングの各手法を比較した結果、主要構成機器を直接監視するローカルモニタリングが最も有効換気量の変動を抑制し、メンテナンス回数も少ないことが確認された。また、本研究で提案した換気性能の評価チ ャートにより有効換気量および利用者人数の不確かさを同一指標で可視化し、モニタリング手法の違いを総合的に比較・評価できることを示した。さらに、屋内測位による利用者モニタリングを組み合わせることで、利用者人数の変動に応じて換気量を適切に調整でき、不確かさの縮小と省エネルギーの両立が可能となることを示した。