空気調和・衛生工学会 論文集
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R113の垂直管内凝縮熱伝達 : 第1報-流動様式および圧力降下
呉 厚圭
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1983 年 8 巻 22 号 p. 1-11

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抄録

冷凍および空調機器において重要な部分の一つが凝縮器であり,省エネルギを考慮した凝縮器の設計には,正確な熱伝達ならびに圧力損失に関するデータが必要である.本研究はR113が垂直管内で凝縮するときの圧力損失と熱伝達に関するもので,実験装置は冷媒強制循環用ポンプ・全凝縮器・受液器・冷媒蒸発器・蒸気過熱器およびテストセクションからなる冷媒ループと,冷却水ループ(試験区間,全凝縮器,液過冷却器のそれぞれの冷却水ループ)によって構成されている.テストセクションには,熱伝達および圧力降下測定用(内径12.7mm)と流動様式測定用(内径6mm),ならびに全般的流れの観測用(内径12.7mm)の3種を用いている.実験条件は,圧力降下と熱伝達に関しては冷媒の質量速度153〜194kg/(m^2・s),乾き度1〜0.2,液膜レイノルズ数400〜3000,圧力100〜113kPaの範囲で行い,流動様式に対しては質量速度300〜600kg/(m^2・s),乾き度1〜0の範囲である.まず,本報では流動様式と圧力損失の実験結果について検討し,次の結論を得た.1)完全凝縮の場合,写真および目視観察による主な流動様式は,環状流,フロス・スラグ流,プラグ流であり,このような流動様式の実測によって冷媒の垂直管内凝縮における物理的現象の理解を高めた.2)これまで報告されている種々の流動様式地図のうち,気液二相の垂直下向流に対するOshinowoらのものが最も本実験データとの適合性が高い.しかしながら,詳細な検討には流動様式の分類および遷移域などに関するさらに多くの実験が必要である.3)Lockhart-Martinelliのパラメータを用いた垂直管内凝縮における局所摩擦圧力降下の予測式を提案した.

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© 1983 公益社団法人 空気調和・衛生工学会
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