2013 年 11 巻 1 号 p. 43-50
高齢期に伴う認知機能の低下を鈍化させるための訓練方法を開発する目的で、65歳以上の健常者40名を対象に介入訓練実験を実施した。認知訓練群は1週間に1回の割合で手紙を書く課題を行った。手紙は実験者側が「子どもの頃どんな遊びをしましたか」などの回想的質問に単文を書くように求める課題と、未知の4名の人物写真に対して「職業、年齢、性格」を推論すること求める課題から構成されていた。運動訓練群には1日15分程度のバルーンを用いる体操、散歩などを課すものであった。8週間の介入訓練の前後で測定した認知(注意、記憶、言語)検査と重心動揺検査結果を比較したところ、認知訓練群では認知検査及び重心動揺検査で成績の上昇が認められたが、運動訓練群では介入訓練での変化は認められなかった。これらの結果に基づいて、加齢に伴う認知機能低下に対する手紙課題の有効性を検討した。